定年後の現実

「仕事がない」は嘘?定年後のリアルな就職活動レポート

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「60歳を過ぎたら仕事がない」――そんな言葉を耳にすることがあります。しかし実際の現場では、その“常識”はもう古いと言っていいでしょう。日本全体で労働人口が減少する中、企業は経験豊富なシニア人材を積極的に求めるようになっています。実は、定年後にも働ける場は想像以上に多いのです。今回は、リアルな定年後就職の実態と、転職成功のための3つの重要ポイントを紹介します。

「60歳でも即戦力」──広がる再就職のチャンス

最近の調査によれば、65歳までの継続雇用制度(※厚生労働省:高年齢者の雇用について)を導入している企業は約8割に達し、70歳まで働ける制度を持つ企業も年々増加しています。たとえば太陽生命保険は65歳定年制を採用し、70歳まで働ける継続雇用制度を整備。イオンリテールでも「エルダー社員」として定年後も同等の待遇で働ける制度を設けています。つまり、企業側も「定年=引退」ではなく、「年齢を超えて活躍できる人材」を求めているのです。
実際に60代での転職成功例も増えています。
建築士として40年勤務した男性(67歳)は、退職後に設計コンサルタント企業へ再就職。「体力的に厳しい現場より、設計やチェックなど経験を活かせる仕事に切り替えた」と話します。
また、自動車部品メーカーで働いていた61歳の技術者は、退職後に公的研究機関のリサーチ職に転身。「若手指導や技術文書作成など、経験を重視してもらえた」と振り返ります。
このように、経験・知識・信頼性を武器にした“再キャリア”は確実に広がっているのです。


転職成功の鍵は「3つの準備力」

では、定年後の就職活動で成功する人と、苦戦する人の違いはどこにあるのでしょうか?
多くの事例を分析すると、次の3つのポイントが際立っています。


ポイント1:スキルの棚卸しと“強みの翻訳力”

長年の経験は宝ですが、そのままでは通用しません。大切なのは、「自分の経験を企業が求める言葉に置き換えること」。
たとえば「管理職経験20年」ではなく、「若手育成を通じて離職率を20%改善」「安全品質の指導で事故ゼロを3年継続」といった具体的成果に変換する力が必要です。こうした“翻訳”ができる人ほど、書類選考を突破しやすくなります。

ポイント2:柔軟な働き方の受け入れ

フルタイム・正社員だけにこだわると、選択肢は狭まります。
近年は「週3日勤務」「顧問契約」「プロジェクト単位」など、柔軟な働き方を取り入れる企業が増えています。
たとえば大手住宅メーカーの大和ハウス工業では、60歳以降も役職や昇給機会を残し、成果に応じて働ける制度を導入。
“完全リタイア”ではなく、“セミリタイアしながら社会とつながる”働き方を受け入れることで、長く安定した就労が実現しやすくなります。

ポイント3:健康と意欲の見える化

企業がシニア採用で気にするのは「体力」と「モチベーション」。
「まだ元気に働ける」「新しい環境でも学びたい」という姿勢を具体的に示すことが重要です。
たとえば、趣味でウォーキングやスポーツを続けている、資格取得に挑戦している、といった行動の証拠があれば、年齢の不安を払拭できます。
面接では「これまで」よりも「これから何ができるか」を前向きに語ることが信頼につながります。


まとめ:定年後こそ、第二の“選択の時代”へ

定年後の就職市場は、決して閉ざされたものではありません。むしろ今は、経験を持つ人が選ばれる時代です。
確かに給与は若干下がるかもしれません。しかし、「社会と関わり続ける」「自分の技術を伝える」「生活のリズムを保つ」など、働く意義は年齢を超えて存在します。
「もう年だから」とあきらめる前に、スキルの棚卸しをし、柔軟な働き方を探し、健康と意欲をアピールしてみてください。
あなたの経験を必要としている企業は、思っているよりずっと多いはずです。

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