インタビュー

第二のキャリアで輝く!シニア転職成功者の事例 -製造業Sさん-

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1.定年後も現役エンジニアとして再出発

「定年を迎えたらのんびり暮らすのも悪くない。でも、まだ自分の技術が社会で役に立つなら、もう一度挑戦したいと思ったんです。」
そう語るのは、神奈川県在住の技術者・Sさん(63歳)。大学卒業後、大手製造メーカーで約40年間、生産技術と工程改善に携わってきました。
60歳で定年を迎え、嘱託社員として2年間勤務したのち、あらためて新たな職場を探す決意をしたといいます。
現在Sさんが働くのは、中堅の金属部品メーカー。職種は生産ライン改善アドバイザー。体力を必要とする現場作業よりも、改善提案や若手指導といった「経験を活かす仕事」に軸を移しました。
「若い頃のように走り回るわけにはいきません。でも、長年の経験で得た“問題を見抜く目”を評価してもらえたことがうれしかったですね。」

2. “仕事がない”は思い込み -求められているのは「実績と人柄」-

Sさんが再就職活動を始めたのは62歳の春。最初は書類選考の段階で落とされることが続きました。
「年齢だけで判断される悔しさもあり、ダメもとで知り合いから紹介されたキャリアコンサルタントに相談をしてみました。『相手に正確に価値を伝える為にもご自身の事を振り返ってみましょう。』と言われて、騙されたと思って、提供して貰った就業曲線や振り返りシートに今迄自分が、何をしてきたのかを整理することから始めたんです。」
これが、Sさんの転職成功を導いた第一歩でした。
彼は、定年前のキャリアを一度すべて紙に書き出し、キャリアコンサルタントの質問に答える形式で「自分が人の役に立てる事」を具体化していきました。
その結果、「現場改善」「安全管理」「若手教育」という三つの柱に自分の強みがあると再確認できたといいます。
「“もう年だから”ではなく、“今の自分に何ができるか”を明確にすることで、気持ちも前向きになりました。」

3.転職成功の鍵はこの3つ

定年後の再就職で成功するために、Sさんが特に意識したのは次の3つのポイントです。

1.自分自身が「できること」を知る

定年後の転職では、まず自分の強みを正確に理解することが出発点です。
Sさんは、これまで携わったプロジェクトを振り返り、具体的な成果を数字で整理しました。
「歩留まり15%改善」「作業効率20%アップ」「若手の離職率半減」──。
それを整理することで、自分の価値を“見える化”できたといいます。
「長年の経験は、まとめないと自分でも見えなくなる。棚卸しをしたことで、改めて自分の武器が何かが分かりました。」

2.自分にできることを“貢献の言葉”で伝える

企業が求めているのは、「過去の栄光」ではなく「これからどう貢献できるか」
Sさんは面接で「改善提案を通じて現場の安全性を上げたい」「若手が成長できる環境づくりに貢献したい」といった形で、自分の経験を“相手の利益”として表現しました。
「面接では自分の話ばかりせず、相手が困っていることを聞いて、それにどう応えられるかを話すようにしたんです。」
この姿勢が評価され、採用担当者から「年齢よりも話の中身で決めました」と言われたそうです。

3.知識をひけらかさず、謙虚に学ぶ姿勢

Sさんが今の職場で信頼を得ている理由は、知識よりもその“姿勢”にあります。
「昔のやり方を押しつけない。若い社員からも学ぶつもりで接しています。」
製造現場では、新しい設備やデジタル化が進み、若手の方が最新技術に詳しいことも多い。
Sさんは「自分の経験が万能ではない」と理解し、互いに補い合う関係を築くことでチームの雰囲気も良くなったといいます。
「謙虚に学び続ける気持ちがあれば、何歳になっても成長できる。転職後3年経った今でも毎日が勉強です。」

4.製造業で増える“シニア活躍の現場”

製造業界では、技術継承と人材不足の課題が深刻化しています。そのため、Sさんのような経験豊富な技術者を“アドバイザー”や“技術顧問”として採用する企業が増えています。
大手では大和ハウス工業が60歳以降も昇格・登用を可能にし、太陽生命やイオンリテールなどもシニア人材の登用を拡大。中小企業でも「週3勤務」「在宅改善提案」「ライン改善顧問」など、柔軟な雇用形態が広がっています。
「若手だけでは解決できない課題に、経験者の視点が必要とされている」とSさんは言います。
「定年後こそ、社会に恩返しするチャンス。働く場は、思っているよりずっと多いですよ。」

参考:大和ハウス工業 -これからの働き方をサポートする人事制度-

5.まとめ:第二のキャリアは「自分を知り、人を活かすこと」から

定年後の再就職は、かつてのように“妥協の働き口”ではありません。
経験と人間性を武器に、企業の課題解決に貢献できる「現役の社会人」としての出発点です。
Sさんは最後にこう語ってくれました。
「若い人を見守りながら、自分も成長していける。定年後は“引退”じゃなく、“再挑戦”です。」
自分を知り、相手に貢献し、謙虚に学び続ける――その3つを実践することで、60歳からのキャリアは確実に輝きを増します。
“第二のキャリア”は、まだまだこれからです。
 

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