定年後の現実

定年後の仕事で後悔しないために!再雇用で生じるギャップの原因とは?

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前回のブログで「定年後の仕事選び:再雇用の給与・評価制度のリアルと企業の対応」について触れましたが、この中でお伝えした、再雇用後のギャップはなぜ発生してしまうのでしょうか?
ギャップの原因は再雇用者だけの問題ではなく、雇用側の考え方によって左右されてしまう事も多々あります。今回のブログでは、この双方の考え方の違いから生じるギャップとその根本原因に関して、事例を交えてながらお伝えしていきたいと考えております。

1.雇用側は再雇用者をどの様に考えているか

そもそも雇用側は再雇用者に何を期待しているのでしょうか?
期待値が分からないと自分がどう貢献できているのか、自己評価も出来ないと思いますが、意外とこの期待値を理解していない、考えていなかったという方々が再雇用者の方には多く存在しています

1-1.専門職として技術的な貢献をしてもらいたい

会社の事業形態や職種によりますが、個人に蓄積された専門技術をそのまま活用したいと考えている会社は多くあります。
知識が欲しい場合や後進への教育をして貰いたい場合はこの様な要望になります。但し、給与は定年後下がるケースが多いので、個人のモチベーションの低下をどの様にして防ぐのか、その対応を雇用側がどの程度考慮するかは企業や必要なスキルのレベルによって変動します。

1-2.人手不足なので取り敢えず同じ仕事をして補って欲しい

多分このケースが一番多いのではないかと思います。
再雇用制度が平成25年4月1日に施行され、令和7年4月1日から65歳までの雇用が義務化されるのですが、真剣に再雇用の制度改革に取り組んできた会社はごくわずかです。制度設計がないままに同一の仕事内容とするケースや、定年の延長をして急場をしのぐケースがあります。定年延長を決断するのであれば、まだモチベーションの低下は防げますが、前者の場合は前回のブログでも書きましたがモチベーションの低下は避けることができません。

1-3.いてもいいけど問題は起こさないで欲しい

意外とこのケースも見られます、義務化されたから再雇用はしないといけないけど特に仕事の取決めもしていないので、何もしなくてもいいから問題は起こさないようにして欲しい、特に若手のモチベーションが低下するような事はしないように、という考え方や今まで働いてくれたから「ご苦労様」のつもりで再雇用をしているとい考え方もあるようです。

参考:再雇用者に対する企業の考え方(弊社で開催された座談会からの事例)

給与について

  • 安くても良い
  • 年金減らない程度の給与に抑える
  • 利益重視なので基本的に一律減給
  • 最後は事業部門の仕事の都合で決まる
  • 管理部門は全て一律減額という考え方
  • 子会社の体型は異なる(一律35%ダウン)

マインドセット

  • ご苦労さま、もう働かなくて良いよという考え方
  • 経営責任が不明確
  • 企業価値を高めることに対して不勉強
  • 再雇用に対する会社の方針が曖昧
  • 人を大切にした雇用をしていない
  • 人を見た対応をしていない

人材育成・キャリアパス

  • 60歳以降も働ける人材育成をしていない
  • 人ではなくITで全ての対応を考えている
  • 業績重視の評価制度であり人を見ていない
  • 再雇用者の評価制度を整備していない

2.雇用される側は再雇用に対してどの様に考えているのでしょうか

よくあるパターンに分けて考えてみます。

2-1.特に何も考えていない

このケースが一番多いと思います。
そもそも再雇用の制度の説明を受けていない状態で、業務も忙しくて深く考えていなかった、特にやりたい事があるわけでもなく、今までも会社からの指示で業務を行ってきたので、再雇用においても同様に考えていた。
このケースの特徴として、「会社からの指示」が全てであり自分の意志で職種や業務内容を決める事はしてきていなかった。という傾向があるようです。

2-2.今まで蓄積したスキルを後進に伝えたい

今まで自分が取り組んできたこと、知識として蓄えてきたことを部下や、若手の人達に伝えていきたい、それが、今までお世話になった会社への貢献にもなるはずと思っている。
伝達方法については特に考えていないが、皆が分からない事を聞いてくるだろうから、どんと構えていれば質問してくると考えていて工夫を何かしようとは考えていない場合が多いです。

2-3. 仕事は、程々にして家族との時間を大切にしたい

今まで、仕事も忙しく、出張も多かった、土日も接待でゴルフや付き合いを優先してきたので、家族には寂しい想いをさせてしまっている、定年後は仕事のペースを緩めて、家族を優先にした時間の使い方をしたい、一緒に旅行にも行ってのんびりと家族孝行したいと思い描いているが特に家族とは話し合いはしていない。

3.会社の考えと、個人の思いのギャップは何か

双方の代表的な考え方を記載しましたが、この思いはどの様なギャップを生むのでしょうか?
ギャップとしての例をまとめてみました。

Case1.会社の考えとして専門職としての貢献を求めている場合

個人の考えとして特に何も考えていない場合に生じるギャップ

そもそも専門知識があれば良いが、不足している場合、会社からはお荷物扱いされてしまう。

個人の考えとしてスキルを後進に伝えたい場合に生じるギャップ

伝えるよりも専門知識を実際の仕事に使ってもらいたいので、この辺りの調整が出来ればギャップは解消。

個人の考えとして家族との時間を優先したい場合に生じるギャップ

働くことに負荷がかかるので、自由な時間がどの程度とれるのかは不明。調整が出来ればギャップは解消。

Case2.会社の考えとして人手不足の補助を求めている場合

個人の考えとして特に何も考えていない場合に生じるギャップ

同じ仕事を続けられる可能性が高いので、仕事面では問題無し。但し給与が下がるので、モチベーションの維持が課題。

個人の考えとしてスキルを後進に伝えたい場合に生じるギャップ

自ら直接の仕事をすることになるので、スキル伝達がメインではなくなる。仕事しながら伝達してねとなり、そもそも今まで仕事しながら伝えきれていない場合が多いので何も変わらない。

個人の考えとして家族との時間を優先したい場合に生じるギャップ

時間は自由にならず、出張が入ってしまうかもしれない。家族との関係性によるが、生活に変化は起きない可能性大。

Case3.会社の考えとして問題は起こさないで欲しい場合に生じるギャップ

個人の考えとして特に何も考えていない場合に生じるギャップ

何か取り組みたいという自己表現が下手なので、問題は起こさないが、楽しくもない。ただ会社にいるだけの幽霊社員として、何もせずに5年間過ごすことになる可能性が高い。

個人の考えとしてスキルを後進に伝えたい場合に生じるギャップ

張り切って色々と指導をしようと考えるが、昔の武勇伝を話す事がメインになり、周りから煙たがられる。独りよがりになり、誰も質問や相談に来なくなり虚しい時間を過ごすことになる。

個人の考えとして家族との時間を優先したい場合に生じるギャップ

時間は比較的自由になるので、家族とのこコミュニケーションが取れていない場合には、家族から煙たがられる可能性が高い。妻も旅行に一緒に行かず、寂しい余生を過ごす可能性大。

※記載したギャップの事例は実際の経験談を元に作成をしております。

少し考え方を変えれば適合出来るパターンもあるのですが、なかなか、考え方は変えられず、悩んでしまうケースが多く見られます。
ギャップを解消するためには、現実を知る事と、自分自身の棚卸を行い、環境の変化に対して柔軟な対応が出来る様に準備をしていく必要があると思います。

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次回は「シニアが再雇用されるために心がけること」に関して事例を交えながらお伝えしていきたいと考えています。

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